溝呂木動物病院

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犬と猫の予防の重要性(フィラリア、ノミ、マダニ)|予防によって防ぐことができる

フィラリアや、ノミ・マダニは、犬や猫に寄生すると皮膚炎や痒み、さまざまな健康問題を引き起こします。これらの外部寄生虫は犬や猫にとって不快で健康上のリスクを高めるため、適切な予防措置が非常に重要です。
愛犬や愛猫の健康と安全を守るためにも、フィラリア、ノミ、マダニの予防について適切な対策を講じることが大切です。

今回は、フィラリア、ノミ、マダニの予防に焦点を当てて、なぜ予防が重要なのか、感染がもたらす疾患、予防方法について解説します。
 

■目次
1.フィラリア症予防の重要性
2.ノミ・マダニ予防の重要性
3.ノミ、マダニがもたらす疾患
4.犬や猫のノミ・マダニ・フィラリア感染の予防方法について
5.その他の予防措置
6.まとめ

フィラリア症予防の重要性

フィラリア症は蚊を介して犬や猫に感染する寄生虫病で、特に犬において重大な健康問題を引き起こす可能性があります。猫においても感染する可能性はありますが、犬ほど一般的ではありません。

この病気は、フィラリア(糸状虫)と呼ばれる寄生虫が心臓や肺の血管内で成長することにより発症します。目に見えないほど小さな幼虫が体内で成長し、成虫になると約30cmにも達することがあります。

そして、成虫になると、血液循環や呼吸器系に障害を引き起こし、軽い咳、運動時の疲れやすさ、赤い色の尿が出るなどの症状が現れることがあります。

さらにフィラリアが肺動脈から心臓に移動すると、重度の三尖弁逆流を引き起こし、循環不全に至ることがあります。これによって引き起こされる大静脈症候群は、呼吸困難、運動耐性の低下、低血圧、腹水の蓄積、失神などの重篤な症状を伴い、場合によっては急死のリスクもあります。

ノミ・マダニ予防の重要性

ノミやマダニは、犬や猫に多くの健康問題を引き起こす可能性がある外部寄生虫で、皮膚炎や血液疾患、アレルギー反応などさまざまな病気のリスクを高めます。
また、これらの寄生虫は他の動物へ感染が広がることがあり、場合によっては人間にも病気を引き起こすことがあります。
そのため、飼い主様はしっかりとノミやマダニの予防を行うようにしましょう。

ノミ、マダニがもたらす疾患

ノミ・マダニは動物の皮膚に寄生し、吸血することで生活しています。
ノミやマダニの感染は、以下のような疾患を引き起こす可能性があります。

<ノミによって発症する病気>
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液によるアレルギー反応で、犬猫の皮膚に激しい痒みや炎症を引き起こします。痒みが原因で自ら噛んだり、引っ掻いたりすることで、脱毛、皮膚の損傷や皮膚炎を生じます。

瓜実条虫症
消化管に寄生する寄生虫のひとつで、ノミやハジラミが媒介する寄生虫症です。多数の瓜実条虫が寄生していないと無症状ではありますが、症状が現れると肛門周囲の痒みや体重減少、下痢、嘔吐などが見られるようになります。
また、犬猫の寝床やトイレに片節(米粒のようなもの)がたくさん落ちている場合には感染の可能性があります。


<マダニによって発症する病気>
SFTS(重症熱性血小板減少症)

マダニによるウイルス感染症です。発熱や消化器症状、黄疸が現れ、血液検査では血小板の減少や肝酵素、黄疸の数値の上昇が見られます。
人にも感染し、10〜30%の確率で死に至ることもある恐ろしい疾患です。

犬バベシア症
バベシア症は、マダニを介して犬に感染する寄生虫病であり、バベシア属の原虫が赤血球内に寄生することで溶血性貧血を引き起こします。この病気は、犬がマダニに噛まれた際にマダニから犬へバベシア原虫が伝播されることで発生します。感染すると、貧血や黄疸、食欲不振、脾腫などのさまざまな症状が現れることがあります。
重症化すると病状は急速に悪化し、輸血が必要になるほどの生命を脅かす状況に至ることがあります。

猫ヘモプラズマ症
ヘモプラズマというリケッチアが原因となり赤血球が破壊されて貧血を起こす病気です。
貧血以外にも発熱、元気消失、関節炎などの症状が現れます。

ライム病
マダニが媒介する人獣共通感染症で、発熱、倦怠感、関節痛などの症状が現れます。
重症例では、神経症状を引き起こすことも報告されています。

犬や猫のノミ・マダニ・フィラリア感染の予防方法について

内服させるタイプの予防薬は、皮膚に薬液がつかないことから、シャンプーや雨の中のお散歩でも薬剤が洗い流される心配がなく、日常生活において特に便利です。しかしながら、予防薬の匂いや味を嫌がって飲んでくれないといった問題もあります。
そういった問題を解決するため、現在は食べやすいフレーバー付きなど、下記のようなさまざまな予防薬が存在します。

チュアブルタイプ(犬のみ)
チュアブルタイプのものはおやつのように食べさせることができます。フードに混ぜてもお薬だけ出してしまう子におススメです。月に一度の投与が一般的です。

錠剤タイプ(犬のみ)
チュアブルタイプの予防薬が合わない場合や、食物アレルギーを持つ子には錠剤タイプの予防薬が安心です。錠剤は薬剤成分のみを含むため余分なフレーバーや添加物がなく、お薬に警戒せず内服ができる子におススメです。月に一度の投与が一般的です。

スポットオンタイプ(犬・猫)
首の後に直接塗布するタイプの予防薬で、月に一度の使用が推奨されています。予防薬を食べてくれない子にも投薬できます。

スプレータイプ(犬・猫のノミ・マダニ予防のみ)
生後間もない子犬や子猫でも使用できます。体のサイズに合わせた回数を体の表面にスプレーして、1ヶ月効果が持続します。

注射予防薬(犬のフィラリア予防のみ)
年に1度、獣医師によって投与される予防薬で、長期間にわたる予防効果が期待できます。

その他の予防措置

ノミを駆除する場合、寄生したノミを取り除くだけでなく、犬や猫が生活する周囲の環境の清潔を保つことが非常に重要です。もしノミが犬や猫の生活空間にいる場合、予防薬の効果を持続させるためにも定期的に清掃をし、ノミの卵や幼虫を徹底的に除去する必要があります

また、ノミやマダニの生息範囲は森林だけでなく、人間が暮らす地域の公園や河川敷などにも生息しています。そのため、これらの場所に犬や猫を連れて行く際は、事前に予防薬を使用し、ノミやマダニから愛犬や愛猫を守りましょう。

まとめ

ノミやダニは犬や猫にとってただ不快な存在ではなく、深刻な疾患を引き起こす病原体を媒介することがあります。そのため、飼い主様はこれらの外部寄生虫からペットを守るために、予防措置をしっかりと行いましょう。

■ワクチン接種についてはこちらでも解説しています
犬と猫のワクチン接種の重要性(混合ワクチン・狂犬病)|愛犬・愛猫の健康を守る鍵

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