犬の整形外科疾患について|代表的な疾患3選
犬の歩き方に異常が見られる原因は一つではありません。
外傷による骨折など、レントゲンで明確に診断できる比較的診断が容易な疾患もあれば、先天性疾患や特発性疾患、栄養性疾患など、診断が難しい場合もあります。
整形外科疾患は犬の健康や生活の質に大きな影響を与える可能性があるため、早期の発見と適切な対処が重要です。
今回は犬の整形外科疾患について解説します。
■目次
1.整形外科疾患とは?
2.代表的な整形外科疾患
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
整形外科疾患とは?
整形外科疾患とは、骨、関節、筋肉、靭帯、腱などの運動器官に関わる病気のことを指します。この病気は、遺伝的要因、外傷、老化、肥満など様々な原因で発生します。
整形外科疾患があると、以下のような症状が見られます。
・歩き方がおかしい
・抱っこすると痛がって鳴く
・片方の足や手を挙げている(地面に着けない)
・手足の一部が腫れている など
代表的な整形外科疾患
犬の代用的な整形外科疾患を3つご紹介します。
<膝蓋骨脱臼(パテラ)>
膝蓋骨脱臼は、膝の関節内で膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置から外れる状態です。小型犬種に多く見られ、遺伝的な要因や外傷が原因となります。
症状としては、歩行の際に膝を持ち上げる、足を引きずる、急に痛がるなどがあります。
重度の場合は手術が必要になることもありますが、軽度の場合は関節用のサプリメントの内服や
リハビリで管理できることがあります。
<前十字靭帯断裂>
前十字靭帯断裂は、膝の安定性を保つ重要な靭帯が断裂する疾患です。大型犬種や活発な犬に多く見られ、急激な動きや外傷が原因となります。
症状としては、急に足を引きずる、膝が不安定になる、腫れが見られるなどがあります。
治療には手術が一般的ですが、術後のリハビリも重要です。
<股関節脱臼症>
股関節脱臼は、大腿骨の頭が骨盤の寛骨臼から外れる状態のことです。
症状としては、突然、後ろ足を痛がって歩けなくなることが最も一般的な症状です。
治療は軽症の場合は、足を引っ張りながら捻って元の位置に戻す治療が行われますが、再発しやすい場合は外科手術が必要です。
診断方法
まず、飼い主様からいただいた情報をもとに、犬の病歴や症状を把握します。その後、視診と触診を行い、痛みの箇所や動作の異常を確認します。
ご自宅での歩き方や動きをスマホなどで撮影して見せていただけると、より正確な診断に役立ちます。
さらに、X線検査、CTスキャン、MRIなどの画像診断を行うこともあります。これにより、骨や関節の状態を詳しく確認し、適切な診断を行います。また、必要に応じて血液検査や関節液の検査を行うこともあります。
治療方法
整形外科疾患の治療方法は、疾患の種類や重症度によって異なります。一般的な治療法としては、以下のようなものがあります。
<薬物療法>
痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤やステロイドを使用することがあります。これらは症状を緩和するのに役立ちますが、長期間の使用には注意が必要です。
<理学療法>
筋肉を強化し、関節の可動域を広げるために理学療法が行われます。リハビリテーション専門の獣医師によって行われることが多く、マッサージ、ストレッチなどが含まれます。
<手術>
重度の整形外科疾患には、手術が必要となる場合があります。例えば、膝蓋骨脱臼や前十字靭帯断裂の場合、手術によって関節の安定性を回復させることが目的です。また、椎間板ヘルニアの場合は、神経の圧迫を解消するための手術が行われることがあります。
予防法やご家庭での注意点
整形外科疾患の予防には、日常生活での注意が重要です。まず、適度な運動は筋肉を強化し、関節の健康を保ちますが、過度な運動や急激な動きは避けましょう。
体重管理も大切です。肥満はリスクを高めるため、バランスの取れた食事を心がけ、適切な体重を維持しましょう。定期的に体重をチェックし、過剰な体重増加を防ぐことが重要です。
また、適切な環境を整えることも予防に繋がります。滑りやすい床を避ける、適切なベッドを用意するなど、関節に負担をかけない工夫をしましょう。
まとめ
犬の整形外科疾患は、適切な対処と予防によって管理できます。日常生活でのケアや定期的な健康チェックを通じて、愛犬の健康を守りましょう。歩き方や日常生活での様子に異常を感じた場合は、早めに動物病院に相談することが大切です。
当院では、整形外科疾患に関する診断や治療、予防法についてのご相談を受け付けております。愛犬の健康を第一に考え、専門的なサポートをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご来院ください。
横浜市の動物病院なら溝呂木動物病院