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犬と猫の歯周病について|日々のデンタルケアが大切

歯周病は、十分な口腔ケアが行われないことによって発生する疾患で、食べカスが歯の表面に付着し細菌が増殖した結果生じる歯周組織の炎症性疾患です。
3歳以上の犬の約80%がこの病気にかかっていると報告されています。猫においても、年齢が上がるにつれて歯周病にかかる割合が高まり、3歳までに約70%の猫が歯周病を発症していることがわかっています。

 

この記事では、歯周病の原因、症状、診断、治療方法、そして予防法について解説します。

 

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

歯周病は、主に歯垢の中で増殖した歯周病原性細菌によって引き起こされます。犬や猫は歯垢が歯石(歯垢が石灰化して石のように硬くなったもの)に変化する速度が非常に速く、わずか3日で歯垢から歯石になるとされています。一旦歯石に変化すると、自宅でのケアでは除去が困難になります。

また細菌因子の他に、犬や猫の免疫力、栄養状態、ストレスなどの環境要因が相互に作用し合い、歯周病が発生します。


症状

犬と猫の歯周病にはいくつかの種類があり、特に歯肉炎歯周炎が代表的な症状です。

歯肉炎は歯肉に炎症が生じた初期段階の状態で、歯茎の赤みや腫れ、痛み、出血、口臭の悪化が見られます。歯肉炎を放置すると歯周炎に進行し、歯肉だけでなく歯槽骨や周囲の組織にも炎症が及びます。

歯周炎では、歯茎の強い腫れ、膿の排出、強い口臭、食欲低下、歯のぐらつきや抜け落ちることもあります。
これらの症状は進行すると犬や猫の全身の健康にも影響を及ぼすため、注意が必要です。


診断方法

歯周病の診断には、歯の表面だけでなく、歯肉や歯根膜の状態、歯周ポケットの深さなど様々な項目を評価する必要があります。
なお、全身麻酔をかけずに検査を行うと、動物が暴れてしまい、口腔内の状態を正確に把握することが困難になるため、より詳細な診断を行うためには全身麻酔下での検査が必要です。

また、歯周病の進行状態によっては、口腔内X線検査も行われることがあります。これにより、歯周病の詳細な状態や進行度を把握し、適切な治療計画を立てることが可能になります。


治療方法

歯周病の治療においては、歯垢や歯石の除去(超音波スケーリング)が最も重要になります。
このプロセスでは、歯を支える骨である歯槽骨に炎症がおよび、歯がぐらついていれば抜歯を行うこともあります。超音波スケーリングは大きな音と痛みを伴う可能性があるため、この処置は通常全身麻酔下で行われます

歯の根っこで感染が発生している場合や、歯の根の炎症により顎の骨が溶けてしまっている場合は、抗生剤を服用する内科治療を併用することもあります。
そしてスケーリングの後には、歯の表面を滑らかにして、歯垢が付着しにくくなるために歯面研磨(ポリッシング)を行うことも重要です。

さらに進行した症例では、歯肉切除術などの歯周外科治療が必要になる場合もあります。


予防法やご家庭での注意点

歯周病を予防するためには、日々の口腔ケアが非常に重要です。
特に犬や猫の幼少期、社会化期(犬では生後3〜14週間、猫では生後2〜10週間ごろ)に、毎日の歯磨きや口の周りに触れられることを練習しておけば、その後のデンタルケアが大変スムーズになります。

しかし、歯磨きをどうしても嫌がる犬や猫もいますので、まずは口や歯に触れられることに慣れさせることから始めましょう。
歯に触れるようになったら、褒めておやつを与えるなどして、「歯磨き=楽しいもの」と認識させることが大切です。

また、硬いものを噛むことで歯垢が落ちやすくなるため、ウェットフードよりもドライフードの方が歯周病になりにくいとされています。歯周病が気になる場合は、ドライフードや専用のデンタルガムの使用も検討してみましょう。


まとめ

歯周病は犬と猫で最も一般的な病気の一つですが、ご家庭での適切なケアにより予防することが可能です。
定期的な歯磨きと健康診断により、愛犬・愛猫の口腔内の健康を保つことは、歯周病予防のみならず、全体的な健康状態を維持することに繋がります。毎日の歯磨きや定期的な健康診断で、犬猫の歯周病を予防しましょう。


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